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2020.03.04

  • Interview

就活すらしなかったバンドマンが学習コンテンツのクリエイターに【 Creators Interview #04×楢崎 匡】

就活すらしなかったバンドマンが学習コンテンツのクリエイターに【 Creators Interview #04×楢崎 匡】

DIRECTIONS社員インタビュー第4回目は、学習コンテンツ開発部 部長でプロデューサーの楢崎 匡にインタビュー!


Profile
楢崎匡 楢崎 匡 Masashi  Narasaki
2006年より在籍/学習コンテンツ開発部 部長
NHK for school、ベネッセコーポレーション、東京書籍など、教育に関わるコンテンツの制作を主に担当。2人の男児の父としても「学び」とは何かを模索。理想と現実のギャップを思い知らされる日々を送る…

古舘勝義 古舘 勝義    Katsuyoshi Furudate
2007年より在籍/コネクティブ ラボ 部長
NHK Eテレ「ビットワールド」日本テレビ「アイキャラ」などでディレクターを担当。YouTubeでもコマ撮りアニメ「こびとす」を開発し、累計視聴数4000万回を達成。現在、某キャラクターコンテンツの体験型イベントを準備中。

 

kizuka 木塚 幸代  Yukiyo Kizuka
2018年より在籍/コネクティブ ラボ /webディレクター 兼 広報(仮)
IT系企業を10年間渡り歩き、なぜかDIRECTIONSに入社。
プライベートで活動している保護犬の動物愛護ボランティア団体で、今年からInstagram担当になり、運用の改善と効果検証を行うなど、公私共にwebPR三昧。

 

 


【目次】
1.何の面白みもない部署名『学習コンテンツ開発部』
2.教育に興味のあるバンドマンだった
3.勉強の面白さって何ですか?
4.「クリエイター×現場の先生」で社会問題を解決!?
5.「これ映像でやる必要ありますか?」と言うこともある。
6.大人になって気づいた「失敗」から学ぶ事


 

何の面白みもない部署名『学習コンテンツ開発部』


木塚映像制作会社で「学習コンテンツ開発部」ってなんか異色ですよね…

楢崎: 『学習コンテンツ開発部』って、何の面白みもない名前だと思うんですけど、すごく気に入っているというか、いいなと思っていて、とにかく伝わりやすいんですよ。名刺を渡した瞬間に、「あ、学習コンテンツ開発部というのがあるんですか」という、この分かりやすさは良いなと思っていて。何のひねりもないけど、自分たちがやっているものそのものを表しているから、少なくとも僕はしっくりきてます。

楢崎匡インタビュー01

木塚「学習コンテンツ」と「教育コンテンツ」って同じようなものなのかな?と思っているのですが「学習コンテンツ」と言う部分に何かこだわりがあるんですか?

楢崎: そこはすごく意識的に「教育コンテンツ」ではなくて「学習コンテンツ」にしています。
ある方とテレビ番組の仕事をした時に、「教育」というのはあくまでも上から知識を教えて育てるという感じで、受動的なイメージだけど、「学び」というのは主体的に自分から必要なものを吸収しながら育つみたいなニュアンスがあるから、「学び」と「教育」ってスタンスがそもそも違うという話を聞いて、すごく共感したんです。それで僕らがやっぱり大切にしたいのは「学習」の方で、主体的に学んで子供が成長していくことに重きを置きたいので「学習コンテンツ」と名乗ってます。

 

教育に興味のあるバンドマンだった


楢崎匡インタビュー_02

木塚楢崎さんは、新卒でディレクションズに入社されたんですか?

楢崎: 正確に言うと新卒っていうわけでもなくて、当時バンドをやっていて、就活すらしなかったんですよ。
そもそもどこの企業で働きたいというのもなくて、教員免許も取ったけど、本気で先生になろうと思っていたわけではなく…。卒業した後も1年間ふらふらとバンドやったり、バイトしたり。かと言ってさすがにバンドしかやってない状態だと、これは本腰を入れないと成功しないという厳しさも分かるわけで。
音楽も好きだし仲の良い友達とやっていたから楽しかったけど、バンドで身を立てるほどの覚悟ができなかったので辞めました。

木塚: それで1年間のモラトリアム期間を経て、やっと就職活動のようものが始まったと?

楢崎: いざ何をしようと考えた時に、教育にはもともと興味があるし、バンドもやっていたからクリエイティブに何か作るということにもすごく興味があって。それを両方ともかなえられるのって、たぶん教育系のテレビ番組を作ることかなと思ってネットで検索したら、自分の好きな番組をたくさん作っている制作会社が出てきて、面接に行ったら「ちょうど今から外国人向けに日本語を教える番組を作るところだ」という話を聞いたんです。
僕は大学で日本語学を専攻して日本語教授法(※)を学んでいたんで「それめっちゃやりたかったことですよ!」と言って入社しました。
(※)「日本語教授法」…外国の人に日本語を教える教え方を学ぶ学問。

Creators Interview #04×楢崎 匡
2007年頃、Jカルチャー部の北澤部長の結婚式のVTR撮影時の一枚。
場所は新宿のテニスコート。

楢崎: 入社当初は特にビジョンや大きな目標は無かったけど、ラッキーなことに自分が興味のある仕事が次々と舞い込んできたんです。外国人に日本語を教える番組がまずハマったってのもあるし、その次に来た英語番組もやりたかったことだったし、その後も番組以外にもいろんな教育系のコンテンツを手掛けるようになる中で、「こういうのやりたいな」と思っているとその仕事が舞い込んで来るようになったんです。
最近もプログラミング教育やりたいなと思ってたら、そういうお仕事が来たり。そういう感じで、入社してからずっと好きなことを続けられているのはラッキーだと思ってます。最近は逆に、やりたい仕事を呼び込むために「こういうことをやっていたら仕事につながるかも?」と思って色んなところに顔を出したりしてます。

 

勉強の面白さって何ですか?


楢崎: 高校時代、僕は進学校に入ってそこで当然のように受験勉強をしたわけですけども…とにかく面白くなかった。ただ、このプロセスは大学に行くためにしょうがないと思って、早くこの状況を抜け出したいと思って勉強してました。中学まではもっと「学び」があって楽しかったけど、高校になったら急にガラッと変わったんです。

古舘中学までは勉強が好きだったんですか?

楢崎基本的に勉強は好きです。今でも好きです。ただ、高校の授業は、いわゆる「教育」で、面白くなかったんです。

楢崎匡インタビュー_03
「勉強が好き」に対してもっと突っ込みたいコネクティブラボ部長

古舘勉強の面白さって何ですか?

楢崎: 何か新しい知識を得るのが純粋に面白いというか、考えるプロセスが好きです。
数学の証明問題とか、どういう道筋で証明するのかとか面白いなと思っていたし。国語の文法も好きで、ランダムに見えるものの中から規則性を見つけ出すということがすごく好きでした。
本音では受験勉強ってくだらないなとは思っていたけど、その一方で「勉強なんてやらなくていいんじゃない?」とか「数学をやる意味なんてないんじゃない?」とか言ってる同級生に対しては「いやいや、それは違うよ」と思ってました。何がその人にとって将来価値のあるものになるかは分からないから、それはやった方がいいでしょう、と。だから一応、受験勉強も、それなりにはしました。

木塚ずいぶん真面目でしっかりした高校生だったんですね…。

楢崎このインタビューも真面目過ぎて、面白さ的に大丈夫か心配なんですが…真面目ついでにいうと、今こうして教育系のコンテンツをやっている理由も、根本的には世の中の役に立ちたいからなんです。

 

「クリエイター×現場の先生」で社会問題を解決!?


楢崎匡インタビュー_04

楢崎: 勉強が嫌いな子供にも、ストーリーやビジュアルの力でまずは楽しんでもらって、そこを入り口に学ぶこと自体の楽しさに気づいてもらえたらというのはずっとあって、そこに関しては貢献したいなと思っています。

ただ最近よく思うのは、いろんな事情があって、作ったコンテンツが必ずしも学校で使われないことがあるなと…
例えば…
・インターネットの環境がない
・タブレットがない
・授業時間が足りない
・お金がないから導入できない
・知られていない

とか、いろんな問題があるなと思っていて。
あと、学校の先生はそれぞれがすごく工夫して授業をしているのに、いまいちその知識が共有されてないのが、すごくもったいないなという気がしていて。
学校の先生一人ひとりのクリエイティビティをもう少し集合知として集結させて、一人ひとりの持っているポテンシャルをもっと上手く社会全体に生かしていく、みたいなことが出来ないかなと思っているんです。

僕らが映像コンテンツを作る時も、実は学校現場の声を十分に聞いた上で作れていないという状況もあるので、そういった部分を解消するためにも、もう少し制作側と学校の現場の先生が一体となってコンテンツを作るような環境が必要じゃないかなと思っているんです。

就活すらしなかったバンドマンが学習コンテンツのクリエイターに【 Creators Interview #04×楢崎 匡】「クリエイター×現場の先生」で社会問題を解決!?

だからとりあえず手始めに、先生たちから出てきたリアルな課題を2日間で解決しましょう!というような、エデュケーションに特化したハッカソンイベントをやってみたくて。僕らっていろんなクリエイターやエンジニアとの繋がりもあるから、他の企業の人たちを巻き込んで、一緒にその場を作っていくようなことも出来るかなと。
それがもしかしたら本当に、先生が抱えている問題解決に繋がるかもしれないし。

とりあえずイベントをやってみて、手応えを確かめてみたいし、そこで出来たコネクションで、最初に目指していたものとは違う何か新しいものが生まれるかもしれないし。最終的にどうなるかはわからないけど、例えばそういうイベントを番組化して社会的な認知度アップを図るというのもあるかなと思ってます。クリエイターと先生とエンジニアを組み合わせて毎回番組で何か1つ課題解決の方法を導き出すみたいな。
更にそれをNHKが持っているプラットフォーム「NHK for School」の中に置かせてもらって、いろんな先生が使えるようにするとか。そういうところまで発展させていけたら面白いだろうなとは思っています。

 

「これ映像でやる必要ありますか?」と言うこともある。


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古舘僕たちが課題に関わる時に、やっぱり映像が中心になるんですか?

楢崎:そこを中心にして考えちゃうと僕たちの出来ることが狭まっちゃうと思っていて、確かに僕たちは映像が得意だから「最終的なアウトプットとしては映像でこう落とし込みましょう」という提案はしやすいし、クライアントも納得感があると思うけど、映像だけではなく、フレームワークを作ったり、コンサルティングをするとか、そういうこともやっていきたいし、今もそこは意識的にやっています。

楢崎匡インタビュー_06

古舘僕自身もいろんなコンテンツがある中で、映像ってどういうふうに機能するのかな?みたいなことを考えさせられることが多くて。これは映像じゃなくて別のものの方がいいのかな、とか?

楢崎:そう、結構そういう依頼ってあったりするんだけど、
そう思うものは正直に、「これ映像でやる必要ありますか?」と言うこともあります。
これは多分紙でやった方がいいとか、他の最適な方法を提案したり。依頼主から言われる通りにやって、何か良く分からないものを作るよりは、お互いに意見を出して一緒に納得いくものを作り上げていくという関係性が理想的だと思います。

 

大人になって気づいた「失敗」から学ぶ事


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楢崎:今、「知りたガールと学ボーイ」と言う中学生向けの英語番組を作っているんですけど、お笑い芸人さんが出演していて、一見するとバラエティ番組なんです。でも、僕の中での裏テーマとしては「英語というのは失敗してもいいから、とにかく伝えることが大切で、それによって上達するんだ」ということを伝えたいんです。
だから、間違ったりするのを堂々と見せることがすごく大事だなと思っていて、失敗しても最終的に身振り手振りでも伝わるし、とりあえずそれでOK。まずはコミュニケーションをすることが大事!みたいなところを伝えたいなと。

古舘その「失敗」というのは1つキーワードなんですかね。

楢崎:僕自身の失敗の経験談でもあるけど、僕は英語がすごく好きで勉強していたけど、いざ喋るとなった時に、どうしても文法が間違っているんじゃないかと思ってたりして、なかなか発言が出来なかった。そんなのどんどん間違えたり失敗したりしながらやったほうが伸びる、というのは大人になってから気づいたけど。だからこそ今は、とにかくやってみるという事を大切にしたいなと思ってます。思っていてもなかなか行動に移せない人って、自分も含めてすごく多いから、そんな人たちがとりあえず何かを始められるような場とかも作ってみたいですね。そういうのをいろんな人の力を結集させて実現させたいです。

 


インタビュー・編集:古舘 勝義(DIRECTIONS)、木塚 幸代 (DIRECTIONS)
写真:木塚 幸代 (DIRECTIONS)

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